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少しでもおかしな動きが起きればすぐに、「ドルの異変」として掌握される。 外国で起きた異変の場合はアメリカ政府の財務長官か、あるいはFRBの議長がすぐさま問題を起こしている国に飛んで行って、火を消してくることになっている。
1997年7月から始まった「東アジア通貨危機」の際には、東南アジアの国々の金融危機と政治変動への対応は、IMFの専務理事(マネージング・ダィレクター)であったカドミシュ氏にやらせた。 経済破綻した韓国、マレーシア、インドネシアなどである。
それに対してこの地域の金融センターであった日本へは、当時の財務長官のラリー・サマーズ本人が、自ら直接、怒鳴り込んで来て、数回にわたって、日本の指導者(実力政治家)たちを目の前に呼びつけて脅し上げた。 緊急の準備金を日本に無理やり放出させた。
そうやって、本当の本当はロシア危機(ロシア政府の対外決済の不履行、国家破産、ルーブル債の大暴落と紙キレ化)に端を発していた、あのときの東アジア通貨危機は難局を脱出したのである。 現在、アメリカは、毎年、単年度で7000億ドル(50兆円)を、主要で寛大な支援者である数カ国の外国から借りている。
日本とサウジアラビアと中国である。 彼らの国民は勤勉に働き、その製品の対価としてドルという紙切れを受け取っている。

アメリカは帝国を守るために、必要な全ての資金(国防総省予算だけで毎年4500億ドル、50兆円)を上回る資金をそれらの外国から借りている。 米国の軍事力は明らかに、米国通貨の信用力の後ろ盾である。
世界のどこにも今の米国の軍事的優位に対抗できる国は存在しない。 それ故に、アメリカがゴールド(の代わり)」であると宣言しているドルを受け取る以外に、諸外国には他のも無いので、ほとんど選択枝はこれまで無かったのだ。
イラク、イラン、ベネズ、北朝鮮、キューバといった、アメリカの力に抵抗し、今の国際通貨体制に挑戦しようと国々が、「ならず者国家」という焔印を押されても、アメリカに反撃できず、金融・経済されて、アメリカからの体制転覆(レジーム・チェンジ)の標的にされ皮肉なことに、今や誰でも分かるとおり、だから今度は逆にドルの優位は米国の強大な軍事力に依存しているのである。 ドルの信用力の源泉はアメリカの軍事力なのである。
「ドル・軍事力世界通貨体制」と呼んでもいいものである。 米国の強大な軍事力はやっぱりまたドルの信用力に依存している。
ここで話はグルグル回る。 諸外国が実物財(リアル・グッズ)の対価として米国ドルを受け取り続け、アメリカ国民の度を超した今の消費生活を支え、アメリ力軍国主義の資金を、実に寛大に、快く用立て続けていてくれる限り、米国の、「単年度ではない」、「累積の」根雪のようにこの数十年間にわたって溜まりにたまった、巨額の対外債務と経常収支赤字が、このあともどれほどの巨額になろうとも、このまま現状が維持される。
現実の脅威は目の前に迫っている。 アメリカに挑戦する政治的敵対者がやがて現れようとしている。
まだ彼ら挑戦者には米国の軍事力に対決するだけの能力はない。 がそれでも彼らはアメリカの衰退しつつある金融経済力に対決しようとするだろう。
新たな中国の動きである。 衰えたアメリカの真実の経済力の無さに気づかず、いつまでもアメリカを崇めているほど彼らは愚かではないし、それほど内気でもない。
アメリカが目下のイランからの新たな挑戦を、深刻に受け止めている理由はそこにある。 本当に大きいのは、中東地域(烏@四○口)よりも、中国からの挑戦である。
イランが米国の国家安全保障に対する軍事的な脅威になっているというアメ、ノヵ国内での切迫した議論は、意図的につくられたものであり、虚偽である。 イランの脅威とは、本当はイスラエルにとっての脅威であり、イスラエルにとっての国家安全保障上の危機なのである。

イランが密かに核兵器を保有するようになり、やがて、同様にこの地域の大国であるエジプトとサウジアラビアに拡大することになれば、イスラエルの「国家存亡の危機」が近づく。 国家の重大な安全保障問題とは、実はその国家の存亡の危機のことなのである。
だからユダヤ人国家であるイスラエルは、必死でアメリカを自国の問題に巻き込もうとする。 イスラエルはアメリカ政府を揺さぶり、「アメリカが行わないのなら、イスラエルは、自力でイランの疑惑の核関連施設を急襲して、戦術核兵器(タクティカル・ニュークレア・ウエポン)を弾頭にしたバンカーバスター弾で空爆して破壊する」と、脅してきたのである。
イラン核問題は、イスラエルにとっての安全保障の問題なのであって、アメリカにとっての安全保障の問題ではない。 イスラエルの問題はイスラエルが対応すればいいことだ。
その多くの争いの原因は、イスラエル自身が作り出したものなのだ。 自業自得である。
だから今のイラン核疑惑問題は、かつてのイラクに対する濡れ衣と同じぐらい信頼できない議論である。 ところが、あれほどアメリカのイラク攻撃に反対する政治的議論で派手に活動した人々が、おかしなことに今回のイランとの対決の問題には全く関心をしめそうとしない。
問題の所在がよく分からないからだろう。 問題の本質は、今、私が書いたとおりであり、イスラエルが抱える深刻な問題なのである。
イスラエルは、アラブ人のイスラム教徒の国々に包囲きれている、わずか700万人の国民からなる小国であるに過ぎない。 イスラエルはこれまでは軍事力の優位(4回の中東戦争に勝った)で周囲のアラブ諸国を見下してきたが、もうそういう時代ではない。

アラブ・イスラム教世界の団結の前にはイスラエルは一気に劣勢になりつつある。 アメリカが、これ以上、イスラエルの国策に意図的に引きずり回される必要はないのである。
アメリカ国民や議会は今のところまだ、イラクに続いてイランへの先制攻撃(プリエンプティブ・アタック)を主張する凶暴なネオコン派の人々の、安易な主戦論、軍事力優先論に変化はないように見える。 アメリカの国論は去年2006年の春から変化しだし、今年2007年の2月から、決定的に動き出している。
アメリカ政府は、どうしたことかこの2月から、急速に「世界中から手を引きつつ」ある。 「もうこれ以上、世界を管理する能力も、資金力もアメリカには無いのだ」と。
このことをそれとなく、国務省の外交官と財務省の高官たちが態度で示し始めた。 だから、アメリカ国民は、もはやこの4年間イラクでやったような、人命と費用の損失をもたらしただけの、愚かな軍国主義をイランで繰り返すことはしないだろう。
また出来なくなりつつあるのである。 奇妙なことに、アメリカ国民の大多数にとってイラクでの敗北はもはや明らかであるのに、国民も連邦議会も不必要で危険なイランとの対決を求める主張をいつもの政治ドラマだとして黙認している。
アルカイーダとか、オサマ・ピン・ラディンというのは、本当に組織だって存在するのかさえ分からないのである。 あれらの「テロリストたち」という恐怖の偶像を意図的に作り出し、宣伝することにブッシュ政権はいつも躍起になる。

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